一問一答の裏にある意図を読む ― 面接官が見ていること

面接は「相手を理解する姿勢」を示す場である

面接は、単なる質疑応答ではありません。施術者として働くうえで欠かせない“相手を理解する姿勢”が評価される場です。質問に対して丁寧に耳を傾け、意図を読み取り、自分の考えを落ち着いて伝える姿勢は、患者対応そのものと深く結びついています。面接官はあなたの言葉だけでなく、態度・表情・姿勢からも「この人と一緒に働けるか」を判断します。まずは“しっかり相手を理解しようとする姿勢”を意識して臨むことが、面接の第一歩になります。

質問の意図を読み解き、自分の言葉で答える

多くの学生が「正解を答えよう」とするあまり、ありきたりな返答になってしまいます。しかし面接官が知りたいのは、あなたの価値観・考え方・誠実さです。「なぜこの院を選んだのか」という質問の裏には、理念や施術方針への理解があるかを確かめる意図があります。「どんな施術者になりたいか」には、将来性や学ぶ姿勢を知りたい意図が隠れています。質問の背景を意識し、自分の言葉で丁寧に伝えることで、面接官の印象は大きく変わります。

経験を語るときは「学び」と「成長」を中心に据える

面接ではアルバイトや実習の経験について聞かれることが多くあります。しかし、経験そのものよりも、そこから得た学びや成長の方が重要です。たとえば「接客のアルバイトをしていた」だけでは情報として弱いですが、「患者さんとの距離感を考える姿勢が身についた」「相手の不安を汲み取り、言葉を選ぶことの大切さを学んだ」など、施術者としての視点を踏まえて語ることで、経験が説得力を持ちます。過去の出来事を“今の自分につながる言葉”に整理しておくことが不可欠です。

非言語の印象が、面接評価の大きな割合を占める

面接官は言葉だけでなく、表情・姿勢・声の出し方といった“非言語的情報”を重視します。施術者の仕事は、患者に安心感を与えるコミュニケーション能力が求められるため、落ち着いた姿勢や丁寧な受け答えは高く評価されます。椅子に深く座りすぎない、背筋を伸ばす、目線を合わせるなど、基本的な所作が好印象につながります。特別なパフォーマンスは必要ありません。「誠実に向き合おうとする姿勢」があれば、それだけで十分です。

最後は「ここで働きたい理由」を一貫した言葉にする

面接全体を通して一番大切なのは、“この治療院で働きたい理由”が一貫していることです。理念への共感、患者層との相性、研修環境の魅力など、理由は人によってさまざまですが、その言葉があなた自身の成長とつながっているかどうかが、採用側にとっては大きな判断基準になります。面接前に自分の言葉で整理し、どの質問がきても軸がぶれない状態にしておくことが、採用に最も近づく準備になります。