離職率から学ぶ──長く働ける施術所を見極めるポイント

数字で環境を推定する視点

求人票に離職率は載りませんが、「平均勤続年数」「直近3年の新卒定着率」「産休・育休復帰率」など、環境を推定する数字は存在します。見学や面談で抵抗なく答えられる職場は透明性が高い傾向です。逆に、数字を曖昧にする場合は、早期退職や教育不足などの課題が潜む可能性があります。数値は万能ではありませんが、質問への態度とセットで見れば、現場の空気が浮かび上がってきます。

退職理由の“質”を必ず確かめる

退職という結果が同じでも、理由の質は大きく異なります。開業や学び直しといった前向きな離職が多い職場は、育成が機能し、人が成長して出ていく健全な循環がある可能性が高いです。反対に、人間関係や労務管理の不備が主因なら、同じ問題に巻き込まれるリスクを覚悟する必要があります。OB・OGや非常勤経験者からの一次情報は強力です。可能なら複数の証言を取り、バイアスを薄めましょう。

定着を生む“非金銭的要因”に注目

給与だけで職場満足は決まりません。教育制度の体系化、評価・昇給の基準の明文化、相談しやすい人間関係、業務量の平準化、シフトの予見性、記録や引継ぎの仕組みなど、非金銭的要因が日々のストレスを左右します。見学では、朝礼・終礼の運用、OJTの手順書、月例の振り返りシート、ミス発生時の対応ルールなど“仕組みの痕跡”を確認しましょう。仕組みは文化の化石です。

面談での質問テンプレを持ち込む

「平均勤続年数」「新卒の3年定着率」「教育期間と評価の節目」「残業計測方法」「有休取得率」「院内コミュニケーションの場」をテンプレ化し、面談で必ず尋ねます。回答の内容だけでなく、即答できるか、資料で示せるか、態度が防御的かを観察してください。採用は双方向の選抜です。準備された求職者は、準備された職場と相性が良く、入社後のギャップが小さくなります。