成長を描く ― 自分らしいキャリアの方向性を定める

キャリア設計とは、就職先を早く決めるための作業ではありません。自分がどのような専門家として、どのような価値を提供しながら働いていきたいのか、その方向性を整理するための土台づくりです。施術者のキャリアは、資格取得や就職をゴールにすると、その先で迷いやすくなります。なぜなら、働き始めてからも選択の連続が続くからです。どの職場で経験を積むか、どの分野を深めるか、将来的にどんな働き方を選ぶか。その判断を支えるのがキャリア設計です。最初に「自分は何を大切にしたいのか」を整理しておくことで、就職後も納得感を持って選択を重ねていくことができます。

キャリアを考えるとき、「向いているかどうか」で悩む人は少なくありません。しかし、施術者としての成長において重要なのは、単純な向き不向きよりも、「どんな環境で力を発揮しやすいか」「何にやりがいを感じるか」です。実習や学習の中で印象に残った場面、楽しかった経験、違和感を覚えた瞬間を振り返ることで、自分なりの価値観が見えてきます。これらを言語化することで、就職先を選ぶ際の判断軸が生まれます。自己理解は一度で完成するものではありませんが、考える習慣を持つこと自体が、キャリア設計の第一歩になります。

キャリア設計では、将来を一気に決めようとする必要はありません。現実的なのは、短期・中期・長期の視点で整理することです。短期では、在学中や就職直前に何を身につけたいかを考えます。中期では、就職後数年間でどのような経験を積み、どんな強みを育てたいかを描きます。長期では、最終的にどのような専門家として働いていたいか、どんな状態を目指したいかを考えます。重要なのは、長期目標を固定しすぎないことです。状況や価値観の変化に応じて見直す前提で描くことで、現実に即したキャリア設計になります。

キャリア設計は考えるだけで終わるものではありません。方向性を整理することで、日々の行動の意味が変わります。どんな視点で職場見学をするか、どんな質問をするか、どの経験を優先して積むか。これらはすべて、キャリア設計とつながっています。最初から完璧な設計を目指す必要はありません。仮の方向性を持ち、行動し、振り返りながら少しずつ修正していく。その積み重ねが、自分らしいキャリアを形づくっていきます。キャリアは「見つけるもの」ではなく、「描き続けるもの」です。