「やりたいことが分からない」は不利ではない──キャリア設計の出発点のつくり方

やりたいことが明確な人は少数派である

キャリアについて考え始めると、「やりたいことが決まっていない自分は遅れているのではないか」と不安になる学生は多い。しかし実際には、明確な目標を持って進学・就職をする人の方が少数派である。多くの人は、経験を重ねる中で徐々に方向性を見つけていく。「やりたいことが分からない」状態は、キャリア設計において不利でも異常でもない。

出発点は「できること」ではなく「気になること」

やりたいことが分からない場合、無理に将来像を描こうとすると手が止まってしまう。そのようなときは、「何ができるか」よりも「何に引っかかりを感じるか」に目を向けることが有効である。少し興味を持ったこと、違和感を覚えたこと、続けられそうだと感じたことは、将来の選択肢につながる重要なヒントになる。

選択を先延ばしにしないことが重要

やりたいことが見えないからといって、考えること自体を後回しにしてしまうと、気づかないうちに選択肢が狭まってしまう。キャリア設計において重要なのは、完璧な答えを出すことではなく、現時点での仮の方向性を持つことである。「今はここを目指してみる」という暫定的な判断でも、行動につなげることで次の材料が得られる。

経験を通して方向性は更新される

キャリアは最初に決めた通りに進むものではなく、経験を通して修正されていくものである。実際に学ぶ、働く、現場を見るといった体験を重ねることで、自分に合う・合わないが具体化していく。方向性が変わることは失敗ではなく、情報が増えた結果として自然なプロセスである。

キャリア設計は「決断」より「整理」から始まる

キャリア設計という言葉から、大きな決断を想像しがちだが、最初に行うべきは決断ではなく整理である。自分の状況、考え、感じている不安や期待を一度言語化することで、次に取るべき行動が見えやすくなる。キャリア設計の第一歩は、「分からない状態を認識すること」そのものだと言える。